その子が出て来るたびに、テレビを叩き切っておりました。まだ幼い子供を泣かせようと大の大人がわいわい躍起になって、ついに首尾よく彼女の涙が見えれば周囲中大騒ぎの大爆笑。「天才」とはいえせいぜいあくまで「その年齢にしては上手」というレベルだろう、とその競技に無知な私は思っていましたので、
「どうせね、ああやってテレビのオトナにもてあそばれて育って、大人を大人と思わずに成長し、あと何年かしたらきっと例の『なんちゃらケンちゃん』の成れの果てみたいな転落人生を送ってるんだわ。ああ、あんな小さな子供の人生ゆがめるなんて、本当にテレビってテレビって・・・」
といちいち不愉快になっていた訳です。ええ、当時の状況では、どう考えたって未来に見えていたのはスポイルされまくりの駄目駄目な女の子。絶対にロクな人間になんかなりっこない、と思っていたんですね。
で、実際に10年経ってそこに居たのは。
フツーに年相応の言葉をきちんと喋る事の出来る、同世代のギャルに比べるとほんのり純朴そうなルックスをした、シャイな笑顔の可愛らしいオリンピック選手でありました。本物だったんかい、福原愛選手。いやあ・・・失礼しました。っていうか、福原選手を「人格的に」ここまで育て上げた人物を見てみたいですわ("愛ちゃん"ブームの時、「真っ当な親なら子供があんな扱いされるのを許す筈が無い、きっと金に目がくらんだ駄目な親に違いない」と苦々しく思ったもんです)。私にとっては「タッキュウノアイチャン」といえばド直球のNGワードだったんで、これまで目にしないように心がけていたんですが、今までも彼女の周囲には割とこまめにテレビが張り付いていたのでしょう。そういう夾雑物の多い環境の中で、どうやったら福原選手(<なんとなく"愛ちゃん"とは呼びたくない)がちゃんと育つんだか、その秘密を知りたいような気がします。

という訳で。
本当の意味での「世界レベル」というには、まだまだあくまでそのとば口に足をかけたという感じの福原選手なのでしょうが、これからの活躍を期待し、応援したいと思う今日この頃の私なのでありました。うーん、それにしてもあの環境の中でああ育つなんて、いやはや本当に凄いわあ・・・。