私は小さい頃、顔に水がかかるのを酷く嫌う子供でした。小学生になるまでろくに洗顔する事も出来ず、毎朝蒸しタオルで顔を拭いていたという始末。洗髪するのも一仕事で、当然水泳なんて全く無理な話だったのでございます。そんな私も、小学校1年生の夏休みに親戚の家に遊びに行き、遠浅の穏やかな海で唐突に水泳に開眼したのですが。夏休み明けのプールの授業でいきなり泳いで見せた時、担任の先生が泡を食って私の自宅に電話して、「ふろちゃんが!ふろちゃんが泳いでるんです!」と叫んだ程なのですから、それまでの私がいかに水嫌いだったかお判り頂けるかと。
さてむん子。この子は、顔に水がかかるのをどうとも思わない子供でございます。小さい頃から入浴のたびに彼女の顔にびしゃびしゃ飛沫を撥ね散らかしていた不器用なハハのおかげか、洗髪時に頭頂からざぶざぶシャワーの湯をかけても全く平気。「頭流すよー」とハハが言えば、目をぎゅっとつぶって(その代わりに口が大きく開くのはご愛嬌)、大人しく泡が落ちるまで水をかぶっております。最近では、私の洗顔を見真似て、自分で湯船の湯を掬っては顔にひっかける仕草もするようになりました。その姿を見る度に、己の幼少時を思い起こしては、「我が娘ながら何だか凄いなあ」と感嘆する私。嗚呼、親子といえども色んな点で大きな違いがあるものだなあ、と痛感するひとときでございます。
さて。
ゴールデンウィーク、むん子を連れて東京ディズニーリゾートに行って参りました。「お誕生日にはTDLでミッキーと写真を撮ろうね」という、ひどく間抜けなハハの独り決めに従って、今年も大枚はたいて家族で出陣した訳でございます(オット実家は、ちょっとした事情に付きキャンセル)。
出発したのは、連休谷間の6日。折悪しく天候不順という事もあり、東京ディズニーランドは思いの外空いておりました。前回は、クリスマスシーズンスタート時の11月末の日曜日にうっかり出かけてしまい、そりゃもう大変な目に遭ったのですが。今回は、どこに行ってもとりあえず人ごみに揉まれず問題なく歩く事が出来る!行列がたったの45分!という、常識で行けば「それってどうなのよ」という僥倖の中、それなりにパークをエンジョイ出来た私たち。『ミート・ミッキー ミッキーの家』という、「ここに入れば確実にミッキーと写真が撮れる」のがウリのアトラクションも、クリスマス時には4時間待ちだったのがたったの45分待ち。で、喜び勇んで列に並ぶと、またこれが思った以上に順調な流れで、実際には並び始めてから出るまで40分弱でございまして。いやあ、雨の平日って素晴らしい(そうか?)。
で。
私は小さい頃、いわゆる着ぐるみが非常に苦手な子供でした。実際、2歳か3歳頃の写真の中に、デパートの屋上ででっかい着ぐるみに手を差し伸べられて号泣している一枚がございます。着ぐるみの中の人もさぞ困っただろうなあ、と思わず同情せずには居られない程の凄まじい泣きっぷりが見事に捉えられた1枚で、実は個人的にはほんのりお気に入りだったりするのですが。
娘、むん子。
巨大ミッキーに抱きついておりました。
ええっ?あんた平気なの?普段、母か祖母以外の人間と手を繋ぐのは物凄く嫌がる癖に、ミッキーとお手手繋ぐのは平気なの?パパの姿が見えなくてもミッキーが居れば平気なの?ええっ?
ミッキーに惨敗したオットがヘコむのを尻目に、むん子ミッキーをしげしげと眺めてさすって(流石に笑ったりはしゃいだりはしなかったものの)興味津々。折角キャストのお姉さんが写真を撮ろうとカメラを構えてくれているのに、注意が完全にミッキーに向かってしまっているため、撮れた写真はほぼ後頭部ばかりという始末になってしまいました。す、好きかミッキー!というか、大丈夫なのか着ぐるみが!
何かの間違いか、それとも周囲に沢山知っている大人(両親、祖父母)が居たからか・・・と思っていたのですが。翌日の東京ディズニーシーでも、エントランスのキャラクターグリーティングに遭遇するなり「どなどー!ぷるーちょー!みにー!」と叫んでは、追いかけて眺め回して握手したり抱きついたりしていた処を見ると、どうやらこの人着ぐるみ大丈夫みたいです。えー、あんなでっかくてパースの狂った生物、怖くないのかー。私は物心ついた後もしばらくは怖かったぞー。
うーむ、やっぱり、血が繋がっているとはいえ、基本的には他人なんだなあ娘と私って、と実感した出来事でございました。何だか子離れ第一歩、という感じで、ちょっぴり切ないゴールデンウィークのひとこま。
ちなみに、「そんなに好きなら」と私の母が小さなミッキーのぬいぐるみを買い与えたんですが。帰宅するまでぎゅうぎゅう抱きしめて離さなかったのに、家に着いてお気に入りのぶたのぬいぐるみを一目見た途端ぽい。一夜明けた今、ミッキーはその辺に転がされております。子供って残酷ね。