去年の12月29日土曜日、ちょうど予定日の検診。昼前に受診したんですが、
「うーん、まだ兆しは無さそうだなあ・・・一旦帰宅して、もし何かあったらまた来て下さい」
と、いつものI先生ではない医師に言われまして。何せ予定日当日という事でオットが「今日は念のため車で行こう」と車を出してくれたので、それに乗り込んで少しだけ走った所、
「・・・パパ、やっぱりお腹が痛い気がする」
と。病院に電話してUターンすることにしたんですが、2時前に到着した時には結構な痛みが15分おきに付いておりました。
実は、前に2度ほど「もしかして?」と病院に駆け込んだのにスカを喰らった事があったので、今回もまた陣痛が遠のいちゃったらどうしよう、と案じていたのですが。その後、波はありながらも徐々に陣痛が軌道に乗り始め、先生も「これは、今日中に産めるかな?」と。
前もって「和痛分娩」の予約をしておりましたので、点滴に機械を設置。無痛分娩よりは安全性が高いものの、人によっては「全然効果がなかった!」と後からお怒りになる事もあるらしいこの和痛分娩、少なくとも私にとっては
「最初のとき(もちろん無処置)よりは断然マシ!」
でございました。ここで負担が少なかった分、最後の最後で体力温存出来て本当に良かったと思わずにはいられません。
分娩担当の女医さんは、初産が7時間弱だった事もあり、もっとさくさくお産が進むかと思っていたらしいんですが、子宮口の開きも陣痛の強さも思いの他進まず、「うーんどうしようかなあ」と腕組み。そうこうしている間に、「Nさんようやく産気づいたってー?」と、いつもの外来担当のI先生(どうやらこっちの方がエラい)が様子を見に来てくれまして。
「おやー、ここ(陣痛室)来てどれくらい?あんまり開いてないねー、よいしょー」
待てえええええ!手でひらくなああああああ!(すいません)
私には筋腫があるので、先生も私自身も「なるべく促進剤は使いたくないですねー。普通の妊娠なら、よっぽどの事が無いと促進剤も安全ではあるんですが」という話をしていたんですね。で、それがあるもんだから、「促進剤使わずに何とか頑張ってねー」というおつもりだったのでしょうが。やあやあ、幾らなんでも手でがーっと行かれるとは思いませんでしたね私も。はっはっは。
しかし、流石というべきかナンと言うべきか、そのI先生の「がー」以降陣痛は順調に進んで、
「おっ、降りてきた感じですッ!」
と看護婦さんに叫んだのが大体6時くらいだったでしょうか。
しかし、物凄く不摂生な妊婦生活を送っていたせいで巨大化した腹の中の息子は、なかなかつるんとは出てきてくれませんでした。和痛のおかげで多少の余裕があった私は、前回の記憶やらナニやらを頭の中で巻き戻して、「目は閉じずへその辺りに力を込めて」と、まあもう教科書どおりのいきみを繰り返し、その度ごとに看護婦さんに絶賛されてたんですが。いくら頑張っても、羊膜つついて破水させても、肝心の子供が出てこない出てこない!「出ろ!出ろ!出ろ!」と、そればっかり頭の中で念じつつ必死でいきむ私。「かっ、肩がひっかかってますっ!」戸惑う看護婦さん。分娩担当の女医さんが「I先生!おなか押して!」と叫び、いつも穏やかなI先生が「はいはーい」とものっすごく和むお返事とともにぐいいいいいいいいっと人の腹に体重をかけて、私が心で「いけーーーーーーーっ!」と叫んだ瞬間、ぶほっ!という感覚とともに、2005年12月29日午後7時3分、息子はこの世にやってきたのでありました。
出てきた瞬間、女医さんと看護婦さんが同時に「うわっ!おっきー!」と感に堪えぬように仰ったその声音は、一生忘れられないと思います。ハイ。
分娩室の外ではオットが待機しており、本当に「生まれたてほやほや」の息子をはっきりと見る事が出来たそうなんですが。やはり、娘に比べるとえらくブサイクだな・・・と思ったそうです。
その日はどういうシフトだったものか、外来がいつもの担当のI先生ではなかったんですが。その日に外来で診てくれた先生も駆けつけてくれて、産湯をつかわして貰った息子を見て「うわー、こりゃデカい赤ちゃんだねえ」とつくづく仰っていたそうな。産後2日間ぐらい、廊下を歩く度に「大きい赤ちゃんでしたねえ」と担当でも何でもないナースさんたちにさんざっぱら声をかけられ、駄目押しで退院前検診の時女医さんに
「それにしても上手に産みましたよねー。あんな大きな赤ちゃんを5時間半で産んで、凄い安産。あと2日遅かったら間違いなく出ませんでした。帝王切開」
と言われ・・・3800グラムってそんなにデカいの?(<デカいです)
息子はその後、「大きく産んで小さく育つ」という、綺麗に巷説の逆を行く成長振りを見せており、今は身長体重ともに1歳児平均のちょい下辺りをさまよっております。アホ程離乳食を食べているのに(うどんなら半玉は軽い)太らないのはオットの血でしょうか。
無事に生まれて、無事に育って1年。時間に、全てに、感謝。